2012年 08月 12日
白内障の手術をした。白内障は一般的な病気なので病気の原因から治療法まで様々な情報がネット上にあふれているが、やはり体験記は参考になった。そんな訳でお返しも兼ねて、ネット情報蓄積のひとつにでもなればと思い、体験記を書くことにした。実は8/6に入院し、8/7と8/9に手術をして今日(8/12)退院したばかりである(笑)。 [視力が落ちた] Ryochanの視力は0.1以下、いわゆる「ど近視」である。もう何十年も視力に変化は無かったのだが、二年位前に右目が少し見え難くなった。近くは良く見えるので近視が進んだ感じである。眼鏡店に行って検眼してもらうとやはり少し視力が落ちていた。この歳で近視が進むのも変だなぁと思ったのだが、眼鏡店の方が「そういう方もおられますよ」と言うので、そんなものかと思い、右目だけ眼鏡の度を強くした。 [白内障の宣告] 半年くらい前、右目の視力の低下を強く感じるようになった。いくらなんでも変だなと思い、かかりつけの眼科医院を受診した。一通り検査して、「核白内障です」との診断。この歳で白内障になるとは思ってもいなかったので、「え~、白内障ですか」と思わず声が出た。聞くと五十歳を過ぎると特に珍しくは無いとのこと。白内障がどのような病気かは知っていたが、核白内障という言葉は初めて聞いた。先生によると普通の白内障は水晶体が濁ってくるのだが、核白内障は水晶体の中心部が硬くなるため屈折率が高くなり、結果的に近視と同じ症状になるとのことで、通常の白内障と同様に手術以外の治療法は無いとのこと。差し当たって生活に支障が出ているわけではないので、とりあえず進行を遅らせる目薬をもらって帰った。 [決断] 核白内障と診断されてからはネット情報の収集を積極的に行った、原因から手術法、体験記など。原因その他については先生の言われたとおりであった。ただ核白内障はあまりほおって置くと手術が困難になると書かれていたのが気になった。 しばらく目薬をさしながらほおって置いたのだが、右目の視力低下がさらに進行してし左右の視力差が広がり文字が見え難くなってきた。ネットによると日帰り手術も普通に行われているとのことなので、意を決して手術することを決断した。かかりつけの眼科医院に行き、大事をとって手術は倉敷中央病院でしたいと話し、紹介状を書いてもらった。 倉敷中央病院はベッド数が1000床を越える大きな病院である。白内障の手術も年間1500例くらい行っているとのことなので怖がりなRyochanも大船に乗った気持ちで手術できると思い選択した。 [診断] 倉敷中央病院は変な言い方だが、かかりつけの病院である。これまでも何度も来ているのだが、何度来ても診察までの手続きの順番を覚えられない。なんとか眼科の診察受付を済ませて待合で待っていると、名前を呼ばれて診察。診断によると左目もかなり白内障が進んでおり手術適用範囲とのこと。片眼だけだと手術後の視力を反対の目の視力に合わせなければならないが、両眼だと手術後の視力は自由になるとのこと。右目だけの手術と思って来たのだが、説明を聞き、両眼の手術を決断する。先生によると両眼手術の場合、6泊7日の入院を標準としているとのこと。日帰り手術のことを聞くと、日帰手術りも可能ですが、手術の翌日と翌々日は通院が必要とのこと。両眼手術するとすると結局、一週間毎日通院しなければならないことになる。そんなことならと標準の入院手術をお願いすることとした。 [事前検査1] 先生の診断と説明の後は手術に向けての事前検査。どの検査も特に痛くは無く、ただ顎を乗せていれば完了する。涙管が通っているかどうかの検査だけは実際に涙管に生理食塩水を入れられるので、ふんが、ふんがはする。 9時30分に病院に来て、全ての検査が終わり、先生の診察があったのは14時頃。先生いわく「今日の検査を見る限り手術可能です。手術日と今後のことは事務の方から話があります」。事務の方いわく「手術は順番待ちで、4ヶ月以上先になります。血液検査等の検査は有効期限が3ヶ月なので残りの検査は〇〇日に来てください」。なんということか、全てが予想を完全に超えた展開。でもそういうことなので次回の予約券をもらって帰宅した。矢は放たれた。 [事前検査2] 予約日。この日は心電図と血液検査その他だけなのであっけなく終わる。色々とあるのだろうが、肝炎とHIVの検査も実施。両方とも陰性。次回の手術前最終検査の日を指定されて帰宅。 [事前検査3] 手術の一週間前。術前の最終検査。いくつかの検査を行い、最後に先生の診断。先生いわく「特に問題はありません。予定通り手術します。今後のことは看護師から説明があります」。手術後の視力はライフスタイルを考えて30~40cmの位置にピントが合うようにしていただいた。先生の診察の後、看護師さんから入院に必要な手続きや入院時に持っていく日用品等の等の説明を受ける。いよいよだなぁと複雑な心境。 [入院・手術・退院] <1日目(月)> 9時30分までに眼科病棟のナースセンターに来てくださいとのことなので、少し早く9時頃にナースセンターに出頭する。少し待っていると担当の看護師さんが現れて病室に案内される。いよいよ人生で初めての入院生活が始まる。病室は3人部屋、窓際で眺めがいい。看護師さんから入院中の生活や規則、設備などとともに明日の手術について説明を受ける。明日は手術、元気なうちにと病院内を探検する。 昼食は初めての病院食、思っていたより豪華だ。昼から明日の手術の準備としてまつ毛を切られる。「長いですね」「そうですか」。そんなこと考えたことも無かった。消灯は9時なのだが9時前になっても看護師さんたちが普通に働いているのには驚いた。 6時起床。手術は14時45分からの予定。手持ち無沙汰で落ち着かない。昼食は絶食。手術の2時間前から瞳孔を広げる目薬を30分間隔で入れられる。手術の30分前から点滴開始。手術の10分くらい前に手術着に着替え、車椅子に乗せられて手術室へ連れて行かれる。手術室前で名前と生年月日を確認され、手術室のスタッフさんに車椅子を押されて手術室へ。手術室に入ると主治医の先生が手術着を着て待たれていた。 いよいよ手術台に乗せられ手術開始。もう名実ともにまな板の鯉である。まず、目の消毒。消毒が済むと麻酔の点眼。次に目にというか目の周り全体にフィルムのようなものを貼られる。そしていよいよ主治医の先生の「お願いします」で執刀開始。 目の前に無影灯があるのでとにかく眩しい。前を見てじっとしていてくださいとのことなので我慢。目の前を円形に影が動く。水晶体前嚢を切開しているのかな? 痛くは無い。先生の「電気を消してください」の声で目の前が真っ暗になる。そのうちチーという小さな音が聞こえ始める。超音波で水晶体を砕いているのかな? 痛くは無い。割と冷静で、手術室にBGMとして流されている白鳥の湖が聞こえる。先生の「ネクストモードに切り替えてください」の声が聞こえる。砕いた水晶体の吸引が開始されるのかな? 真暗の空間の遠くに太陽が見える。その太陽がふらふらと動くのだが、太陽が動くわけは無いので、自分が宇宙空間に浮いて浮遊しているような不思議な感覚だ。しばらくすると先生の「レンズを出してください」の声。これから眼内レンズを入れるみたいだ。手術が順調に終盤に進んでいることが分かり少しホッとする。「少しチクっとしますよ」と先生の声。眼内レンズが挿入されたみたいだ。少しして「終りました」という先生の声。目にガーゼを当てられて手術台から降りて車椅子に。車椅子に座ったら全身の力が抜けて少し放心状態。そのまま車椅子を押されて病室へ戻る。手術室入室から戻って来るまで30分くらいだろうか。病室ではベッドに横になって1時間、絶対安静。1時間が長い。1時間が過ぎると軽い動きはOK。夕食は自分で普通に食べた。 <3日目(水)> 手術した右目は異物感はあるが、特に痛くは無く、元気。7時30分に先生による診察。ガーゼが外される。先生が見える。異常なしとのこと。手術した右目に金眼帯をする。アルミの板に穴が開いた眼帯で、穴を通して外がそれなりに見える。要するに眼のガードなのだろう。昼からあった視力検査では0.4くらい見えていた。ほぼ予定通りかな 予想以上に元気。時間を持て余す。普通なら読書でもしていればいいのだろうが、見えるとはいえ、さすがに読書はできない。テレビをぼーっと見ていても時間がたたない。元気ではあるのだが、明日の手術のことを考えるとあまり出歩く気にもなれない。ストレス。今日から首から下のシャワーは可とのこと。 <4日目(木)> 左目の手術日、予定時間は16時30分。昨日にもまして元気なのだが、手術のことを考えるとあまり歩き回る気になれない。さりとて寝てばかりいては余計なことばかり考える。結局、持参したポケットラジオを病室を出るまで聞いていた。手術は予定より1時間遅れ。それでもラジオを聞くのは良案だったようで、慣れもあり前回よりもかなり平常心で手術を受けることが出来た。手術室を出たのは18時ころ。それでも次の人が手術室の前で待機していた。 <5日目(金)> 朝の診察でガーゼを取ると先生が見える。右目も左目も異常なしとのこと、手術前に合併症の説明をたくさん受けていただけに一抹の不安があったのだが、安心する。視力検査では両眼とも0.5見えていた。少し見え過ぎの感があるが、虹彩による被写界深度の増加を考えるとこんなものなのかもしれない。無調整でピントが合うのは予定通り30cmくらいかな。全てが無事に終わったと思うと元気が沸いてくる。後は2日ほど暇なのを我慢するだけ。顔は手術後4日間は洗えないのだが、髪は看護師さんが洗ってくれた。 <6日目(土)> 朝の診察で順調に回復しているので、予定通り明日退院出来ますとのこと。看護師さんから退院後の生活についての説明があった。入院初日と同じように休息スペースでコヒーを飲んだり、屋上庭園で休息したりと、まったりとした一日を過ごす。 <7日目(日)> 退院日。朝の診察で退院の許可が出る。診察後金眼帯が外される。久しぶりに両目で世界を見る。眼鏡無しでこれだけ見えるのは不思議な感覚だ。ナースステーションに寄って看護師さんに挨拶とお礼を言って病院を後にした。 不思議な1週間だった。とにかく時間がゆっくりとゆるく流れている。何にしても予定時間は一応あるのだが、大抵遅れる。文句を言ってもはじまらない。相手のあること、なかなか予定時間通りには終わらない。Ryochanも最初は少しイラっとしたが、看護師さんやお医者さんの働きぶりを見ていると、仕方が無いことがよく分かった。盆も正月も昼も夜も無い世界があった。主治医の先生、看護師さんをはじめとする病院スタッフの皆さん、ありがとうございました。お世話になりました。 今回の入院で様々なことを学んだが、一番印象に残っているのはやはり、看護師さんは優しいということかな。 【2013.08.27 追記】 白内障の手術をして1年。特段の問題もなく生活している。3ヶ月に1度、掛かりつけの眼科医院で定期検査をしているが、全く問題なし。視力が0.2~0.3くらいに向上したため、それまで掛けていた分厚いメガネから解放されたのがなにより嬉しい。レーシック手術をした感じかな。 【2014.05.20 追記】 左眼が後発白内障になり、昨日、レーザー治療を受けた。ネット情報等で知ってはいたが、全く痛くもかゆくもなかった。レーザー照射直後からクリアに見えるので驚いた。 経過としては、一年くらい前から運転中に対向車のライトに光芒が見えだした。左眼だけ。昼間は何の問題もなく、夜の運転も「少し気になるな」程度だったのでほおっておいた。掛かりつけの眼科医に言うと特に異常は見当たらないとのこと。 2ヶ月くらい前から左眼の霞が強くなったので、掛かりつけの眼科医に言うと、特に異常はないとのこと。むむ。とはいうものの、どうにも気になるので先週、掛かりつけの眼科医に紹介状を書いてもらって、倉敷中央病院で診察してもらったら「軽い後発白内障」とのこと。「これからレーザー当てましょう」とのことで、そのまま治療。昨日まではなんだったんだろうかと思うくらいにクリアに見える。 【2015.11.20 追記】 左目に続いて右目も後発白内障になり今日、レーザー治療を受けてきた。左目同様に全く痛みは無く、見違えるくらいクリアに見える。とは言え、なんだかんだで9時半から14時半まで病院にいた。疲れた。今回もそうだったが、かかりつけの町医者は手術のしゅの字も言わない。私から「紹介状を書いてください」とお願いした。私の知人2人も同様のことで先生とトラブルがあったと聞く。私も少しイラっとした。手術を勧められるまでほっておいたらどうなるのかと思う。むむ。
by ryochan_ex
| 2012-08-12 23:59
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